網膜光凝固術
主に網膜に裂け目や穴があいている場合に行います。網膜の裂け目や穴は網膜剥離に進展する可能性が高いためレーザーによる治療を行います。網膜の穴の開いた所の周りにレーザー光を照射し、網膜にわざとやけど作って裂け目や穴の周囲を癒着させ、液化した硝子体が網膜下の入り込むのを防止します。治療は目薬の麻酔をしてから行い、時間は15分程度です。また、網膜の生まれつき弱いところ(格子状変性)にもレーザー光を照射することがあります。また、眼の表面に特殊なコンタクトレンズを接触させて行うため、強い緊張や眼に力が入っていると眼球が圧迫されやすくなり、気分が悪くなる場合があります。レーザー中に気分が不快になる場合があり、その際は早めにおっしゃってください。
裂け目や穴が大きい場合や、牽引が強い場合には、レーザーを施行したにもかかわらず、網膜剥離を起こすことがあります。網膜剥離を引き起こした場合は、剥離した網膜を元に戻す手術が必要になります。
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汎網膜光凝固術
汎網膜光凝固術は網膜中心静脈閉塞症、増殖糖尿病網膜症、眼虚血症候群など網膜に広範な虚血をきたす疾患に対して行われます。虚血とは組織の血の巡り悪くなり、酸素や栄養が行き届かなくなっている状態のことです。これらの疾患では虚血により網膜から血管内皮細胞増殖因子(VEGF)が産生されます。このVEGFは新生血管と呼ばれる脆くて壊れやすい血管の発生を助長します。新生血管は硝子体出血や血管新生緑内障などの重篤な病気へとつながります。このような状態を予防・治療するために,虚血状態となりVEGFを産生している網膜を壊死させることで、網膜からのVEGF産性を低下させて酸素需要を減少させる治療法である。
1回の照射で数100ヶ所凝固し、必要があれば何回かに分けて、1000ヶ所以上凝固します。麻酔は目薬で行いますが、照射する場所によっては、痛みを感じることがあります。
レーザー光凝固術はあくまでも新生血管の発生を抑制し、網膜上の進行を止めるのを目的とした手術です。すでに視力が低下している場合でも、その時点の視力を維持するために行われるもので、視力回復の手段ではありません。中には光凝固術を行った事により網膜の中心部にむくみを生じることや、新生血管が切れて硝子体出血を起こして視力が低下することもあります。また、病状によっては、レーザー光凝固術を行ったにもかかわらず、病気の進行を止めることができない場合もあります。このような場合は、硝子体手術という手術を行うことになります。
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